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建設業の経営を支える戦略経営の要

変革時代を生き抜く中小企業経営者と経理担当者の役割

2019.1.31
会社の規模や業種・業態を問わず変革を求められる現代社会において経営者は、会計リテラシーを身に着けて積極的に経営改善に取り組み、高品質な製品やサービスを安定的かつ継続的に提供できる経営基盤の強化を図らなければなりません。

中小企業の社長は営業畑から独立開業された方が比較的多く、経理や財務と言った会計は苦手とおっしゃる社長が少なからず存在します。
会社を代表する社長は少なくとも会計リテラシーを身に着け、経営者として自社を取巻く内外の経営環境や経営状態について定量的・定性的に把握しておかなければなりません。

ところが会計が苦手とおっしゃる社長の中には、自社の経営状態についてご質問をすると、平然と恥ずかしくもなく決まって“弊社は専門家(顧問税理士)や経理に任しているので詳しくはわからない”と返答される方が少なからずおられます。
そのように、会計が苦手とする社長の中には経営者とは言い難い方が少なからず存在し、当然の事ながら経理の意味さえ理解していないのが現状かと思われます。

経理にとって不可欠な企業会計には、経営活動の結果をその時々の諸法令や会計基準に則って適切な会計処理を行い、自社の経営状態を財務諸表(決算報告書)にまとめてステークホルダー(利害関係者)に対して報告する財務会計と、自社の安定的な成長と繁栄のために、経営者および経営管理者にとって意思決定に必要不可欠な経営(業績)管理情報をタイムリーに提供する管理会計(経営会計)の2つの大きな目的があります。
その重要度合は、財務会計2に対して管理会計(経営会計)は8とも言われています。

中小企業の多くの社長をはじめ経理担当者は、税理士が経理の専門家と信じ顧問税理士事務所の指導の下、年一回の税務申告のために税務会計に対応した決算会計の事務処理作業が経理の仕事と思い込んで自計化として業務遂行している節が少なからず見受けられます。
確かに一会計期間の実績結果として財務諸表(決算報告書:貸借対照表、損益計算書など)を作成するのも経理の大事な仕事の一つですが、そもそも経理とは、経営管理の略称です。
経営管理には絶対的な定義はありませんが、経営管理という言葉の趣旨目的を明確にして俯瞰してみれば、組織の安定的な成長と繁栄のために、経営資源(ヒト、モノ、カネ、情報)を有効活用して組織を円滑に動かし、組織の目標達成を実現するためには、財務管理をはじめ、販売管理、原価管理、生産管理、人事・労務管理等が経営管理に含まれ、財務会計はもとより管理会計(経営会計)を主とした能動的経営管理が不可欠です。

よって、企業経営を支える経理部門の担当者の役割は、(1)決算報告書の作成をはじめ、(2)経営方針を数値化することで予算を設定し、抜本的具体策の備わった経営計画を作成、月次単位で経営実績を把握し、計画と実績の差異分析をするとともに進捗管理を行い、また、翌期への計画策定に活かしていく業績管理と(3)黒字倒産を回避するために不可欠な現金預金などを管理する資金管理の三大業務に集約されます。
その役割を果たすため、実務面において経理財務担当者にとって必要とする能力には、効率的仕事力、計数管理力、財務提案力、経営貢献力などが挙げられます。
経理財務担当者としてその能力を発揮するためには、能動的思考力を養い財務会計はもとより管理会計(経営会計)を主とした経営管理能力を身に着けることが不可欠です。

上記内容をまとめると以下の通りです。
  • ・会社の規模や業種・業態を問わず社長をはじめ各役員は会計リテラシーを身に着けて経営者としての役割(職責)を果たすべし
  • ・企業会計の重要度は、財務会計2に対して管理会計(経営会計)は8
  • ・中小企業の経理財務担当者の殆どは、戦略経営に関する管理業務は行っておらず事後処理会計の事務担当でしかない
  • ・経理の専門家は顧問税理士や経理事務担当者ではなく経営者であるべし
  • ・税理士の役割(職責)を勘案すれば誰でも分かる(税理士は経理の専門家ではなく税の専門家である)
  • ・経理部門は実現可能性が高く抜本的具体策の備わった経営計画を作成し、経営を実行支援するべし
  • ・変革時代を生き抜く中小企業の経理部門は戦略的自計化を遂行するべし(利益を生む能動的経理部門への変革)

私事になりますが、日商簿記の3級2級を独学で受験合格をして、中小企業の経理事務員として就職、友人の勧めで、簿記専門学校で日商簿記1級を学び合格、簿記専門学校からスカウトされ3級・2級講師を務め(実績は平均合格率90%以上、平均得点90点弱)その後1級と1級特別コースを担当して退職、中小企業(就職時の年商60憶その後急成長)の経理財務担当者として転職、システム会社に転職、4年経過後に退職をして1995年独立開業し、中小企業の経営管理を主とした実行支援型・戦略経営コンサルティングを行っています。
私の職歴は日商簿記1級を取得し、簿記専門学校での実績や経理実務能力を買われ各企業にスカウトされ転職し管理職へ。
その間に多くの経理担当者(日商簿記3級2級1級合格者や会計事務所の職歴者・自称実務経験者)との出会いがあり、その実務能力の無さには驚きを隠せませんでした。

その多くの要因には下記のようなことが考えられます。
  • ・会計リテラシーを身に着けようと自ら努力する社長をはじめとする経営者が少ない。
  • ・経理担当者が誤った月次決算資料を作成しても社長をはじめ経営管理者の方々が、会計リテラシーが乏しいため具体的な指摘や指導ができない。
  • ・決算報告書をはじめ確定(税務)申告書の作成を主たる業務として営む税理士事務所が、経理実務経験が乏しいのにも関わらず経理の専門家と称して、年一回の税務申告のために税務会計に対応した財務会計の事後処理の会計指導しかできないところに企業が依存している。
  • ・企業にとって能動的経理担当者が不可欠なのに、受動的経理事務員を経理担当者として雇用していることに誰も疑問に思わない。
  • ・顧問税理士事務所の担当者に経営計画の作成について相談したら、前年の損益実績をベース(具体的根拠の無いどんぶり勘定)とした幼稚な作成指導しかしてもらえない。
  • ・経理部門は、決算報告書を作成するために存在し、利益を生まないコストのかかる間接部門としてしか考えていない。
  • など

何れにしてもクライアントの業種・業態をはじめ取扱商品や取引状況などの経営環境について、何一つと把握をしていない顧問税理士事務所は、財務会計をベースにしか語れないのが現状で、そのような税理士事務所に何が期待できるのか疑問に感じるのは私だけでしょうか。
但し、税理士事務所の中には、主たる業務を遂行しながらクライアントの経営環境を客観的に分析把握した上で、クライアントの安定的な成長と繁栄に向けたコンサルティングをはじめ実行支援している事務所も多からず存在しているのも事実です。税理士事務所と顧問契約するなら、自社にとって最もふさわしい税理士事務所をお探しすることをお勧めします。